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農薬や肥料が健康に与える影響

 

オーガニック(有機栽培)の決まりごとでは「化学的に合成された農薬や肥料」を

使う事を原則として禁じています。

ここでいう「化学的に合成された農薬や肥料」とは、一般的な栽培方法(慣行栽培)

で使用される農薬や肥料のこと。簡単に言ってしまえば、私たちが普段「肥料・農薬」

と認識しているものとイメージしていただいて問題ないでしょう。

オーガニック(有機栽培)では、これらの化学的な農薬や肥料は原則として使用しません。なぜでしょうか?そこには様々な理由がありますが、今回は「健康に与える影響」にテーマを絞って見ていきましょう。

 

身体の不調は化学物資が原因?~化学物質過敏症

皆さんは、「化学物質過敏症(※1)」というのを聞いたことがありますか?洗剤や柔軟剤の香料、家を建てるときの建築資材によって頭痛やぜんそく等、体に不調をきたす人が現れ、最近はニュースなどでも取り上げられるようになりました。

こういった化学物質によって起こる心身の不調は「化学物質過敏症」といわれ、ほんの少しの化学物質にも反応する「アレルギー疾患」のようなものもあれば、体の中に少しずつ化学物質がたまり慢性的な身体の不調につながるものもあります。

では、具体的にどんな不調が起こるのでしょうか?。

●自律神経に関する障害:発汗異常,手足の冷え,頭痛,
●内耳に関する障害:めまい,ふらつき,耳鳴り
●気道に関する障害:咽の痛み,口の渇き
●循環器に関する障害障害:動悸,不整脈,循環障害
●免疫に関する障害:皮膚炎,喘息,自己免疫異常
●運動に関する障害:筋力低下,筋肉痛,関節痛
●消化器に関する障害:下痢,便秘
●眼に関する障害:粘膜の刺激症状,調節障害,視力障害
●精神に関する障害:不眠,不安,うつ状態,不定愁訴

こうしてみてみると、便秘、不眠や不安、筋肉痛、うつ症状等……「化学物質が原因」とはなかなかイメージしにくいものもありますよね。

そしてこれらの症状は、柔軟剤や建築資材だけでなく、香水や食品添加物、排気ガス、化粧品、そして農薬(残留農薬)よっても引き起こされると報告されています。

何よりやっかいなのは、この化学物質過敏症というものが、医療分野では研究が期待されている段階であり、まだ治療法が確立していないということです。血液検査や尿検査で異常を見つけることができず、更年期障害や自律神経失調症と診断されることも多いようです。そのため化学物質過敏症とは知らずに薬を飲んで、かえって症状が悪化するという悪循環に陥ることもあります(薬は化学物質なので)。

 

オーガニックを選ぶとはどういうことなのか?

私自身、オーガニックの世界で仕事をしていると、食育講座等で大変厳しい状況の方にお会いする機会があります。特別なマスク(防毒マスク)をつけた生活をしている方もいらっしゃいました。

化学物質過敏症は誰にでも発症するリスクがあり、皆さんの身近にも苦しんでいる方がいらっしゃるかもしれません。

オーガニックを選ぶということは、化学的なものに触れる機会を極力減らすということでもあるのです。

ただしオーガニック化粧品といわれるものについては、化学的なものを使用している商品も多々ありますので、一概にはいえません。また、天然の物質にもアレルギーを引き起こすものがあるため、オーガニック=すべての人にとって安全、ともいえません。このあたりは別の機会にお話ししますね。

私共としましては「化学的なもの=悪いもの」という認識はまったくございません。が、日常で接する機会があまりにも多いため、どこかでバランスをとる必要性は感じています。化学的に合成された肥料もまた、化学物質過敏症の原因となりますので、オーガニックを選ぶということはそういったリスクをできるだけ避けることにもつながるのです。

 

※1:平成27年度「環境中の微量な化学物質による健康影響に関する調査研究/環境省」報告書を参照

※有機JAS検査員の資格保持者監修の下、記事を作成しております。

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