そもそもオーガニックってなあに?
スーパーの野菜コーナーで「有機栽培」や「有機JAS」といった言葉を見たことはありませんか?
また、オーガニックコットン素材の服を手に取ったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いろんな表現方法がありますが、日本では「有機栽培」と「オーガニック」は
同じ意味で使われています。
「オーガニック=有機栽培」なのです。つまり有機栽培の野菜はオーガニック野菜、
オーガニックコットンというのは有機栽培されたコットンという意味です。
では、そのオーガニック(有機栽培)とは、いったいどういうものなのでしょうか。
多くの方は「品質の良いもの」「環境に良いもの」「値段が高い」というイメージを抱いていらっしゃるかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか。まずはオーガニックの基本を理解することでお買い物をする際のご参考にしていただければと思います。
オーガニックとは?
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●化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと
●土の中にある栄養分によって生産力を発揮させること
●遺伝子組換え技術を利用しないこと
●農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した
農業生産の方法を用いて行われる農業であること
(できる限り土や水を汚さないよう配慮していること)
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のことをいいます(※1)
一部例外もありますが、さらに細かな約束事を見ていきましょう。
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●周辺から使用禁止資材が飛来し又は流入しないように必要な措置を講じている
●は種(種まきのこと)又は植付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬を使用しない
●組換えDNA技術の利用や放射線照射を行わない
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もう少しかんたんに言い換えまてみましょう。
●化学的に合成された農薬等がよそから飛んでこないよう自分の田んぼや畑を守ること
科学的に合成された農薬や肥料を、たとえ自分たちが使っていなくても、風や水でよそから運ばれてきては意味がないので、しっかりと対策をとる必要があるということです。
●2年以上、化学的に合成された農薬や肥料を使っていない土地で種まき・植え付けをすること。
栽培中に化学的な農薬や肥料を使っていなくても、もともとの土地にそれらが残っていたらNGですよね。ちなみに果樹やお茶、アスパラガスなどは収穫前3年という期間が求められます。
●組換えDNA技術の利用や放射線照射を行わない
遺伝子組み換えの技術を使ったり、放射線をあてたりすることで発芽をおさえるような技術を使わないこと。
その他にも、細かな約束事が山ほどあるわけですが、こういった基準(※2)に従って生産されたものがオーガニック(有機農産物)として正式に認められます。
「ちゃんと約束事を守っているか?」そのチェックをしているのが「登録認証機関」です。オーガニックの基準に適合している物には「有機JAS」という表示をつけることができます。反対に登録認証機関から「有機JAS」の認定を受けていないのに「オーガニック」と名乗ったり、「有機栽培」と表示するのは違法行為となってしまいます。
オーガニックとは何か?を説明するのはとてもやっかいなように思えますが、大きくとらえれば「人や地球環境に負荷をかけない栽培方法」ということもできます。
その目的を達成するための手段として、科学的な農薬や肥料を使うことはNGであり、生態系に影響を及ぼす可能性のある「遺伝子組み換え」についても、その使用が禁じられているわけです。
オーガニックってなに?と聞かれたら……
「化学的な農薬や肥料を使っていなくて、自然環境や生態系に配慮した栽培方法」。
と答えられれば、十分だと思います。
※1:平成18年「有機農業推進法(有機農業の推進に関する法律第112号)
※2:「有機農産物の日本農林規格」
(株)ケイフィールズの木下貴晴は有機JAS検査員の資格を持っており、このコラムの監修を行っています。